失礼しますっ!

加藤シゲアキ君をえっさほいさ応援してみるブログ

脅威!にゅす恋警察発動

男「なんでここにいるのかは、わかっているな?」

ぐみ松「…はい。」

 

置かれているのは、無機質な机とパイプ椅子、かび臭い室内で唯一の明かりは、古ぼけたデスクライトのみだ。

 

男「それなら話は早い、なんでお前は嘘をついた。」

ぐみ松「……~からです。」

男「あっ?なんだって?」

ぐみ松「遅いからです…」

男「はっきりと言え!いったい何が遅いっていうんだっ!?」

 

激しく叱責する男の口から飛び出した唾が、私の顔にかかる。

 

ぐみ松「シゲの本編のストーリーの配信があまりにも遅いからです!」

自分の息が上がるのがわかる。

 

男「お前は言ったよな?加藤くんの本編のストーリーが配信されるまで、NEWSの誰とも恋愛はしないと!ブログで誓ったよな!?」

 

男は私の顔にデスクライトの光を突き付けた。

 

ぐみ松「だって…こんなに遅いと思わなかったんです、待てど暮らせどいっこうに配信されない…使用しないままチケットだけが無駄になる…そんな生活に嫌気がさしてきたんです!」

男「だったら、なんでブログに書いたんだよ。加藤君一筋です、シゲ担のかがみでしょ?的な空気出さなければ、お前もこんなことにはならなかったのに。」

ぐみ松「…噂には聞いていました。でもまさか自分が逮捕までされてしまうなんて…。」

男「されるよ。そりゃされるさ。俺は『NEWSに恋して』で、担当以外とは恋しません発言をし、たやすくその誓いを破った、愚か者を取り締まる為だけに結成された特別警察なんだからな。」

 

その名も『にゅす恋警察』

担当以外とは恋を始めないと宣言しておきながら、誘惑に勝てずに他メンバーとの恋を始めてしまった愚かな女の末路…。そんな裏切り者がたどり着く流刑地

 

その男…にゅす恋警察は執拗に私を責め立てる。

N警察「ところで、なんで増田君なんだ?」

ぐみ松「えっ?」

N警察「とぼけるな!なんで最初の恋のお相手が、手越君じゃなくて増田君なんだって聞いてるんだよ!」

 

私は覚悟を決める。

 

ぐみ松「…たまらんじゃないですか。アイドルの鑑のように、清廉潔白な彼が恋に落ちる姿なんて、想像しただけで涎ものじゃないですか。そんな邪な気持ちからです…。」

私はつづけた

ぐみ松「たとえフィクションでも見てみたかったんです。対ファンじゃなくて、対女として接してくれる彼のことを!」

N警察「それが加藤君のストーリーじゃなくてもか?」

ぐみ松「……はずかしながら。」

N警察「ふっ、お前も女だな。愚かなほどに…。」

ぐみ松「…かもしれません。」

ぐみ松「だけど、ファンだったら一度はみんな夢見ることではないでしょうか?」

自嘲気味に私は語る。

 

N警察「だからこその『NEWSに恋して』なんだよ。」

 

警察は言い終えて、「ふっ」と笑った。

…?どこかでみたような…?実際は目深にかぶった帽子で口元しか見えていない。

その口元の笑みは、初めてこの男に人間味を感じた瞬間だった。

 

ぐみ松「シゲの配信は、いったいいつになるのでしょうか?」

N警察「そんな事まで、俺は知らない。あくまでも俺は、裏切り者を取り締まる為だけの人間だ。」

ぐみ松「例え、まっすーとの恋にドキドキしたからといって、シゲへの思いは変わることはありません。ただひたすらに待ちます。そりゃまっすーももちろん大好きです、だけど…やっぱり私にはシゲしかいないんです!シゲの為に、わけわからないままやらされる、ファッションチェックも何回だって耐えます!朝の5時を待たずに課金だってちゃんとします!まっすーに浮気した自分が言っても、何の説得力もないかもしれませんが。」

私は一昔前の漫画の主人公のように、ペロッと舌を出してみた。

にゅす恋をやっているうちに、いつの間にかフィクションの世界になじみすぎてしまっているみたいだ。

かわいくもない女がおどけて舌を出すことほど、滑稽なことはない。

 

N警察「…気持ちは伝わったよ。」

ぐみ松「えっ?」

 

あまりにも意外な言葉に、わたしは驚きの声をあげた。

 

N警察「お前の加藤君への気持ちは十分わかった。無罪放免だ。お前がネバーランドのブルーレイを観ながら、加藤君がライブの時だけつけるピアスになりたいと思っていることや、握りしめたケーキを舐めまわしたいと思っている事も含めて…ある意味犯罪者気質ではあるが、それも愛とみとめて釈放してやる。」

ぐみ松「え!いいのですか?こんな普通に気持ち悪い人間が、お天道様の元を歩いても、本当にいいのですか?」

N警察「お前には負けたよ。帰ってまっすーとの恋のつづきでもやって恋。」

 

男は、韻を踏んだのかオヤジギャグを言ったのかはわからないが、とりあえずこの世の終わりほど、だだすべりしていた。

きまずい空気が流れる。

さっきの事は無かったことにして私はお礼を言った。

 

ぐみ松「こほんっ…。本当にありがとうございます!今度からはできない約束はしない事とします。」

 

あれ?また笑った?と思った瞬間男は言った。

 

N警察「新しく配信されたら、ちゃんと俺とのストーリーやるんだぞ、ぐみ松。」

ぐみ松「えっ!?今なんて?」

 

瞬間デスクライトが激しく光る、まぶしい光に目をあけていられない。

飲み込まれそうになる意識の中、先ほどの言葉がリフレインする。

「俺とのストーリー」

気が付くと自分の部屋のベットの上だった。

 

時計を見る…早朝5時、手にはスマホが握られていた。

NEWSに恋してを開いてみる、そこには…。